Backlog World 2019に行ってきた
こんにちは、y-onoです。 「Backlog World 2019」とは、backlogユーザーコミュニティ(JBUG)運営のイベントで、昨年(2017年)に続き2回目の開催とのこと。会場は、秋葉原UDXで、参加人数は300名くらい。参加費は、1000円くらいで、お昼にお弁当が出ました。イベント名には「World」とありますが、日本のイベントなんです。
2019.1.26(土)に開催されて、約半年経ちましたが、記録としてブログに残しておきたいと思います。
参加したセッション
- 1. 基調講演「田舎の木材工場で起きた奇跡」と、その後。
- 2. 「連絡板」が支える、Backlog嫌いなクライアントとのコミュニケーション
- 3. 小さなチームの全員マネジメントな日常
- 4. Backlogでわかる炎上の見分け方、消し方
- 5. 男女不問 女性脳を生かしたプロジェクトマネジメント
- 6. できるだけシンプルにしたいプロジェクトマネジメント
- 最後に
1. 基調講演「田舎の木材工場で起きた奇跡」と、その後。
テーマ:昨年、Backlog World 2018アワード受賞者のその後について。
福岡のシステム会社「株式会社diffeasy」さんと、そのお客さんである宮崎の木材工場「株式会社ビッグハウス」さんのお話。
プロジェクト開始当初はお客さんのやりたいことと現場のギャップがあったものの、現場のおっちゃん達に話を聞き本当の課題を見つけ出して、iPadシステムを導入して見事IT化することができたというのが2018年アワードの話で、今回はその後のエピローグ的な話でした。
結果として、材木工場に似つかわしくない新しいWebサイトが立ち上がり、SEも募集中とのこと。
(私が宮崎県出身ということもあり、非常に興味がありますw)
工場としても、働き方が変わりつつあり、各自のタスクが見える化されたことにより残業が大幅削減したとのこと。そして、知識や技術を共有することで、職人さんの技能継承が促進されたとのこと。非常に良いケースだと思います。
なぜ上手くいったのかとの分析においては、以下の4つを挙げられていました。
- 小さな成功を積み重ねる
- 真の課題へのアプローチ
- ストーリーを共有
- 社長のリーダーシップ
プロジェクトを成功に導いたのは、お客さんと非常に良い関係を築き上げ、一緒に不確実性に向き合うことが大切なんですね。
2. 「連絡板」が支える、Backlog嫌いなクライアントとのコミュニケーション
テーマ:Backlogをクライアントにも使ってもらうための工夫
リモートワーク中心の働き方において、クライアントにBacklogを使ってもらうには、どうやってコミュニケーションしたのかというお話。
もちろん、コミュニケーションの手段としては、電話もメールのチャットもありますが、登壇者は電話が嫌いという点には非常に共感を得ましたw(私は複数プロジェクトを兼任しているPL兼PM兼SE兼インフラ補佐のようなロールなので、電話による同期コミュニケーションというのは、割り込みとなってしまいログが残らないので、後からメールでも送って証跡とするという2度手間がどうも非効率に思えて、コミュ障には辛いです。)
登壇者は、お客さんとのコミュニケート手段としてBacklogを用意したが、なかなか使ってくれない・見てくれない・タスクを整理してくれない、といったよくある状況に陥ったようです。
そこで、「連絡版」というチケットを立ち上げ、クライアントには「ここに依頼内容や困ったことを書き込んでください」とお願いしたとのこと。あとは、ディレクターがチケット掃除人になり、適度な粒度にチケットを分割したり、クライアントの要望をエンジニアにも把握しやすいように翻訳したりして、Backlog中心のコミュニケーションを暗に促したようです。その結果、クライアントがBacklogの使い方をだんだん学んでくれるようになったようです。
やはり、ディレクターの交通整理役(タスク割り振り役)は重要な役目ですね。共感したのは、Backlogをクライアントと対パートナー用(開発用)と分けること。これは、スケジュールの締め切りを内部用と外部用に分けることと、内部のゴタゴタがクライアントに見せないことが目的とのことでした。ディレクターの作業量が増えるのですが、トータルとしてはこればベターでしょうね。
ただ、課題が増えてくると、期日超過メールが毎日届くようになるので、チケットの構造を親子関係にして、子チケットには締め切りを設けず、期日は親チケットのみに定めた、と話されていました。こちらからメールや電話をしなければ、相手も使わなくなってくるという点と、急ぎの場合はチャットで、結論をBacklogに記載するようにするのは、イマドキのリモートワークだなぁと感じました。
3. 小さなチームの全員マネジメントな日常
私はクルマを所有していないので、よく存じ上げなかったのですが、自動車の取扱・販売会社「ガリバー」という名前は聞いたことのある方も多いかと思います。登壇者は、そのガリバーを運営している株式会社IDOMに所属されており、「NOREL」というサブスクリプション(月額課金)でクルマを利用するサービスの開発チームリーダーです。(今やクルマは所有するものでは無いんですねぇ…)
普段の業務としては、アジャイルで朝・昼・夕に情報共有のMTG実施し、スプリントの振り返りやBacklogの整理、そして次のスプリントの計画。機能開発や保守作業を担っているとのこと。
最初の2ヶ月は我流スクラムでメンバー間の心理的障壁は取り除けなかったようです。前任のリーダは情報の集約と分配が上手くできていたようで、我流スクラムでは状況の変化を汲み取れなかったことを反省点として挙げられていました。
次の2ヶ月では、生産性の向上までは実感できないにしても、情報を少しずつ見える化したことで改善への糸口を掴めたようです。
さらに、次の2ヶ月で、スクラムマスター研修に参加し、体系的に学ぶことで、成果を具現化できたということは大きな成果だと思います。
印象に残っているのは、仕組みが属人化を防ぐという話でした。問題があるから共有されるのではなく、共有する場があるから問題が共有される。その「場」というものは、Face2Faceでもいいし、チャットでもいいし、手段は選ばないものなのでしょうね。
4. Backlogでわかる炎上の見分け方、消し方
テーマ:受託開発でBacklogを使ってどうマネジメントしているか。
受託開発をアジャイルで行なっているという登壇者。なんと、500件ほどのチケットを、プロジェクト開始に発行して、徹底的に見える化を行う、作業量の見える化を行う、想定しうる作業を全てチケット化するとのこと。
アジャイル開発だと変化が早いので、発注先にプロジェクトの進行状況や作業量を見える化をして、発注者と受託者のゴール認識のズレをなくすようにすることが目的のようでした。
そして、顧客の主要メンバーにBacklogにがっつり参加してもらい、メールは使わない・対応や要望は全部チケットに書く・ダブってもいい、というルールを定めて、ルール違反なチケットは整理・掃除してしまうのは、相手によりけりでしょうか。
質疑応答では、500ものチケットをどのようにして発行するのか?という質問が出ました。回答としては、スプレッドシートでテンプレート化されており、それをBacklogのAPI経由で一括投入しているとのことでした。大量チケットの捌きは専任大臣をおき、結構泥臭くやっているようで、今後の効率化が課題になりそうでした。
5. 男女不問 女性脳を生かしたプロジェクトマネジメント
登壇者は女性なのですが、名古屋を拠点にし、株式会社エクサウィザーズに所属されています。
脳の性差は無い。個人差である。
私は男性ですが、しょっちゅう道に迷いますので、個人差なんでしょうね。 まだ読んで無いのですが、以下の書籍を紹介されていました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00GOLP5K4/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_SFI8DbWK37QD5www.amazon.co.jp
「女神的リーダーシップ ~世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である」(マネージメントとリーダーシップは違うよなぁと思いつつ)、ちょっと読んでみたいと思います。
人差し指と薬指の長さを比較して、、
人差し指の方が長い人は女性脳、薬指の方が長い人は男性脳らしいですw
登壇中にアイスブレイクで隣に座られている方とお話する機会があったのですが、岡山から来られたとのことでびっくりしました。名刺交換すれば良かったなぁ〜。
6. できるだけシンプルにしたいプロジェクトマネジメント
トリは長沢さん。IBM、Microsoft、Atlassianにて、コンサルタント、エバンジェリストで活躍され、2018年3月に「エバンジェリズム研究所」を開業。
アジェンダは3つ。
- プロジェクトマネジメントを振り返る
- プロジェクトマネジメントの虚構と現実
- シンプルなプロジェクトマネジメント
1. プロジェクトマネジメントを振り返る
過去20年を振り返ると、ガラケーからスマホへ。オンプレからクラウドへ。
多機能なガラケーを作るということは、膨大な要求。より膨大な変更。それらが、ソフトウェア設計の改善や、変更への対応が求められます。そういった背景に、BTS(バグトラッキングシステム)・ITS(Issueトラッキングシステム)が変更のファイアーウォールとして使われてきました。
2. プロジェクトマネジメントの虚構と現実
プロジェクトマネジメントのために仕事しているのはダメ。プロダクトのために仕事すべし。現実を見る。プロジェクト特性にあった計画を立てる。
預言書(WF型):あのプロジェクトであったから、このプロジェクトでも起きる。
未来日記(アジャイル型):経験したことがなく試行錯誤が必要。
アジャイルは、ゴールが変動し、技術をキャッチアップ、方法論が通用しない、人材を育成する そして、コストと期日を固定し、スコープを調整する。
3. シンプルなプロジェクトマネジメント
システム構築プロジェクトは、建築ではなく、映画やドラマ作りに例えられるようになってきた。
日本は統制型マネジメント。でも難易度が高い。もう、無理が来ている。
統率型マネジメントは、完了タスクの積み上げ。自立型は、責任を持ってタスクを報告していく、チームでマネージする。「生物的組織」個々の細胞が自分で判断して動く。この組織が一番強い。
最後に
プロジェクトマネジメントがらみのイベントはお堅い印象が強いのですが、今回参加させていただいたBacklog Worldは、企業ブースも活気があってノベルティも個性的なものが多く楽しかったです。Backlogも使い始めてまだ日が浅いので、登壇者の方々による使い方の工夫や使ってくれるための工夫は非常にためになりました。